相続放棄ができる条件
1 どんな場合でも相続放棄できるとは限らない
相続放棄を行うには、いくつかの条件があり、これらが守られないと相続放棄が認められなかったり、家庭裁判所で認められたとしても、後日、無効になったりする場合があります。
そのため、相続放棄を行う場合は、事前に相続放棄の条件を知っておいた方が良いでしょう。
2 相続放棄において守らなければならない主な条件
相続放棄において、基本的に守らなければならない主な条件として、①期限と②遺産の処分があります。
① 期限について
相続放棄は、相続の開始(被相続人が亡くなったこと)と、自身が相続人であることを知った日から、3か月以内に行わなければなりません。
たとえば、被相続人は父、相続人は子の場合で、父は、令和7年1月24日に死亡し、子はその日に父の死亡を知った場合、子の相続放棄の期限は、令和7年4月24日が期限となります。
この期限は厳格なものになっており、基本的に1日でも過ぎた場合は、相続放棄は認められなくなります。
② 遺産の処分について
相続放棄を行う前後で、遺産を処分してしまうと、基本的に、相続放棄ができず、また、相続放棄をした後に遺産を処分すると、相続放棄が無効になります。
たとえば、被相続人の死後、被相続人の預貯金を引き出し、旅行などで使ってしまうと、基本的に遺産を処分したことにあたり、相続放棄はできなくなります。
また、相続放棄をした後に、被相続人の預貯金を引き出し、被相続人の借金の返済に充てた場合も、相続放棄が無効になります。
3 相続放棄は専門家にご相談を
このように、相続放棄を行ううえで、①期限と②遺産の処分については守らなければならず、これらの条件が守られないと、基本的に相続放棄が認められなくなりますので、注意が必要です。
もっとも、期限については、相続の開始と自身が相続人であることを知った日から3か月が経過したとしても認められる場合があり、また、遺産の処分に関しては、遺産分割協議書を作成し、不動産の名義変更を行った場合でも認められる場合があります。
そのため、基本的に①期限と②遺産の処分の条件については守っていただき、万が一、すでにこれらの条件が守られていない可能性がある場合は、すぐに専門家にご相談されることをおすすめします。
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